「思っていたデザインと違う...」そんな失敗を避けるための発注準備と制作会社との効果的なコミュニケーション方法を、20年の実績を持つWeb制作会社が実案件をもとに解説します。
こんな悩み、ありませんか?
- 制作会社に依頼したら、イメージと全く違うデザインが上がってきた
- 何度も修正を依頼して、予算と時間が大幅にオーバーした
- 完成後に「この機能も欲しかった」と気づいて追加費用が発生
- 制作会社とのやり取りがうまくいかず、プロジェクトが停滞
Web制作を20年以上手がけてきた弊社でも、このような課題を抱えたクライアント様からのご相談を数多くいただきます。実は、デザイン発注の失敗の多くは「発注前の準備不足」と「コミュニケーションの問題」が原因なのです。
なぜデザイン発注は失敗しやすいのか
よくある失敗パターン
先日、ある製造業のクライアント様からこんなご相談をいただきました。
「他社でWebサイトを作ったのですが、『おしゃれなデザインで』とお願いしただけで、出来上がったサイトが全く違うイメージでした。若者向けのポップなデザインになってしまい、50代の経営層がターゲットなのに...」
このような失敗が起こる理由は明確です:
- 目的が曖昧:「なぜそのデザインが必要か」が整理されていない
- ターゲットが不明確:「誰に向けたデザインか」が伝わっていない
- 成果指標がない:「デザインでどんな結果を得たいか」が未定義
- 参考資料が不十分:「こんな感じ」が制作者に正確に伝わらない
発注前に準備すべき5つのポイント
1. プロジェクトの目的を明文化する
「なぜそのデザインが必要なのか」を具体的に言語化しましょう。
良い例:
目的: 既存顧客の信頼度向上とブランドイメージの統一
背景: 競合他社と比べてWebサイトが古く見え、
商談時に「大丈夫かな?」と不安を持たれることが増えた
成果: 商談成約率を現在の30%から40%に向上させたい
悪い例:
目的: かっこいいサイトを作りたい
2. ターゲットユーザーを具体化する
ペルソナ(理想的な顧客像)を設定することで、デザインの方向性が明確になります。
弊社では、クライアント様と以下のような項目を整理します:
- 基本属性:年齢、性別、職業、年収
- 行動特性:よく使うデバイス、情報収集方法、意思決定プロセス
- 課題・ニーズ:何に困っているか、どんな解決策を求めているか
- 感情・価値観:何を重視するか、どんなトーンを好むか
ある不動産会社様では、ターゲットを「30代共働き夫婦、年収600万円、初回マイホーム購入検討者」と具体化した結果、親しみやすく信頼感のあるデザインで問い合わせが40%増加しました。
3. 参考サイト・デザインを集める
「イメージ」を共有するために、参考となるWebサイトやデザインを5-10個収集しましょう。ただし、単に「このサイトが好き」ではなく、なぜ良いと思うのかを言語化することが重要です。
効果的な参考資料の伝え方:
参考サイト: https://example.com/
良いポイント:
- トップページの写真の使い方が、信頼感を演出している
- 色使いが落ち着いていて、40代のターゲットに合っている
- サービス紹介が分かりやすく整理されている
参考にしたくない部分:
- アニメーションが多すぎて、情報を探しにくい
4. 必要な機能・コンテンツを整理する
デザインと並行して、必要な機能も整理しておきましょう。後から「この機能も欲しかった」となると、デザインの大幅な変更が必要になることがあります。
チェックリスト例:
- お問い合わせフォーム(項目数、必須項目)
- ブログ・ニュース更新機能
- SNS連携
- 多言語対応
- スマホ対応の要求レベル
- 管理画面での更新頻度・範囲
5. 予算と期間の現実的な設定
「できるだけ安く、早く」では良いデザインは生まれません。目的達成のために必要な投資として、適切な予算と期間を設定しましょう。
制作会社との効果的なコミュニケーション術
初回打ち合わせで確認すべき項目
【確認項目チェックリスト】
□ プロジェクトの進行方法・スケジュール
□ 修正回数の上限・追加費用の発生条件
□ デザイン案の提示方法(何案、どの段階で)
□ 責任者・窓口の明確化
□ 成果物の納品形式・著作権
□ 公開後のサポート体制
フィードバックのコツ
制作会社からデザイン案が提示された時の、効果的なフィードバック方法をご紹介します。
良いフィードバックの例:
「ヘッダーの写真について、もう少し信頼感を演出したいです。
現在の写真は若い印象が強く、50代の経営層(ターゲット)に
『自分向けではない』と思われる可能性があります。
参考サイト(URL)のような、落ち着いた雰囲気の写真に
変更していただけますか?」
避けるべきフィードバック:
「なんか違う」
「もっとかっこよく」
「センスが悪い」
よくある失敗を避けるために
弊社の経験上、以下のような「やりがちなミス」があります:
- 社内での意思統一不足:途中で「社長の好みと違う」と判明
- 素材の準備遅れ:写真や原稿が揃わず、プロジェクトが停滞
- レスポンシブ対応の認識不足:スマホ表示を確認せずに進行
- テスト環境での確認不足:本番公開後に問題が発覚
ある製造業のクライアント様では、デザイン完了後に「社長がスマホで見たら文字が小さすぎる」と判明し、大幅な修正が必要になったケースがありました。このような失敗を避けるため、弊社では各段階で必ずスマホ・タブレット・PCすべてでの確認をお願いしています。
成功する発注のための実践的テンプレート
以下のテンプレートを活用して、発注前の準備を進めてください:
## プロジェクト概要
### 目的
- 現在の課題:
- 達成したい成果:
- 成功指標(数値):
### ターゲット
- 年齢・性別:
- 職業・年収:
- 利用デバイス:
- 重視する価値:
### 参考資料
- 参考サイト1:(URL + 良いポイント)
- 参考サイト2:(URL + 良いポイント)
- 避けたいデザイン:(理由も含めて)
### 必要機能
- 必須機能:
- あると良い機能:
- 更新頻度・担当者:
### 予算・期間
- 総予算:
- 希望公開日:
- 制約条件:
まず何から始めるべきか
デザイン発注で失敗しないために、まず以下の3つから始めましょう:
-
現在のWebサイトの課題を数値で把握する
- アクセス数、問い合わせ数、離脱率などを確認
- 「なぜリニューアルが必要なのか」を明確化
-
社内での意思統一を図る
- 決裁者を含めたプロジェクトメンバーで目的を共有
- 予算と期間の合意を取る
-
制作会社の選定基準を明確にする
- 同業界での実績があるか
- コミュニケーションが円滑に取れそうか
- アフターサポートは充実しているか
弊社では、これらの準備段階から無料でご相談をお受けしています。「まだ漠然としたイメージしかない」という段階でも、20年の経験をもとに、プロジェクト成功のための準備をお手伝いいたします。
デザイン発注は「準備8割、制作2割」と言っても過言ではありません。しっかりとした準備により、イメージ通りのデザインで期待以上の成果を生み出すWebサイトを実現しましょう。