バックエンド 2025.12.27

PHPバージョンアップで既存システムが動かない!安全な移行手順

約5分で読めます

PHPのバージョンアップ後にサイトが表示されなくなった経験はありませんか?20年の実績を持つFivenine Designが、安全な移行手順と失敗しないポイントを実案件をもとに解説します。

こんな悩み、ありませんか?

「サーバーからPHPバージョンアップの案内が来たけど、システムが動かなくなったらどうしよう...」

「以前アップデートしたら画面が真っ白になって、慌てて元に戻した経験がある」

「古いPHPを使い続けていて、セキュリティが心配」

PHPのバージョンアップは避けて通れない作業ですが、準備不足で進めると既存システムが停止してしまう リスクがあります。実際に弊社にも「サイトが表示されなくなった」という緊急の相談が毎月のように寄せられています。

実際にあった失敗事例とその後の改善

ある製造業のクライアント様では、社内でPHP7.4から8.2へのアップデートを実施したところ、ECサイトが完全に停止してしまいました。売上に直結するサイトが丸一日停止し、機会損失は数十万円に。

原因を調査すると、以下の問題が発覚しました:

  • 非推奨関数の使用: each() 関数がPHP8.0で削除されていた
  • 型の厳格化: 文字列と数値の比較でエラーが発生
  • プラグインの非対応: WordPressプラグインが新バージョンに未対応

緊急対応でシステムを復旧させた後、段階的な移行計画を立て直し、現在は安定してPHP8.2で稼働しています。この経験から、事前準備の重要性を改めて実感しました。

安全なPHPバージョンアップの手順

1. 現状調査とバックアップ

まず、現在の環境を詳細に把握します:

# PHPバージョンの確認
php -v

# 使用中の拡張モジュール確認
php -m

# 設定情報の確認
php --ini

必須のバックアップ項目

  • データベース全体
  • アプリケーションファイル一式
  • 設定ファイル(php.ini、.htaccessなど)
  • サーバー設定

2. 開発環境での検証

本番環境と同じ構成のテスト環境で、新しいPHPバージョンでの動作を確認します。

// よくあるエラーの確認ポイント
// PHP8.0以降では以下のコードはエラーになる
$array = ['a' => 1, 'b' => 2];
while (list($key, $value) = each($array)) {
    // each()関数は削除されている
}

// 修正版
foreach ($array as $key => $value) {
    // foreachを使用する
}

3. 段階的な移行実施

一気にアップデートするのではなく、段階的に進めます:

第1段階: 互換性の高い中間バージョンへの移行

  • PHP7.4 → PHP8.0 → PHP8.2のように段階的に

第2段階: 各段階での動作確認

  • 全機能のテスト実施
  • エラーログの監視
  • パフォーマンス測定

4. 本番環境での適用

メンテナンス時間を設けて実施:

# ログ監視の準備
tail -f /var/log/php/error.log

# アプリケーションの動作確認
curl -I https://example.com/

よくある失敗パターンと対策

失敗パターン1: プラグイン・ライブラリの互換性未確認

対策: 事前に全プラグインの対応状況を調査

  • WordPress: プラグインの更新履歴確認
  • Laravel: Composerの依存関係チェック

失敗パターン2: エラー報告レベルの変更を見落とし

PHP8では警告がエラーになるケースが多いため、本番前にエラーレベルを厳しく設定してテストします。

// 開発環境での厳密なエラー報告
error_reporting(E_ALL);
ini_set('display_errors', 1);

失敗パターン3: データベース接続の問題

MySQL拡張からPDO/MySQLiへの移行が必要な場合があります。

移行後に得られる具体的なメリット

適切にバージョンアップを実施したクライアント様では、以下の成果が得られています:

パフォーマンス向上

  • ページ読み込み速度が平均30%向上
  • サーバーのメモリ使用量が20%削減

セキュリティ強化

  • 最新の脆弱性対応により、安心してサイト運営が可能
  • セキュリティ監査での指摘事項がゼロに

保守性の改善

  • 新機能を活用したコードのシンプル化
  • 開発効率が向上し、機能追加にかかる時間が短縮

まず何から始めるべきか

  1. 現在のPHPバージョンと環境の確認
  2. 使用中のCMS・フレームワークの対応状況調査
  3. バックアップ環境の整備
  4. テスト環境での検証計画作成

PHPバージョンアップは一度の作業ではなく、継続的なメンテナンス作業です。計画的に進めることで、システムの安定性とセキュリティを両立できます。

「自社で対応するのは不安」「時間がない」という場合は、ぜひ専門家にご相談ください。Fivenine Designでは、20年以上の実績を活かし、お客様のシステムに最適な移行プランをご提案いたします。

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