Laravel9から10へのアップグレードで悩んでいませんか?本記事では実際のプロジェクトでの経験をもとに、安全なアップグレード手順と注意点を解説します。
こんな悩みありませんか?
「Laravel9のプロジェクトをLaravel10にアップグレードしたいけど、何から始めればいいか分からない」 「アップグレード中にシステムが動かなくなったらどうしよう」 「本番環境に影響を与えずに安全にアップグレードする方法が知りたい」
こうした悩みをお持ちの開発者の方は多いのではないでしょうか。私たちFivenine Designでも、多くのクライアントからLaravelアップグレードのご相談をいただきます。
Laravel10アップグレードで得られる成果
まず、Laravel10にアップグレードすることで何が変わるのかをお話しします。
あるクライアント様の事例では、Laravel9から10へのアップグレードにより以下の改善が見られました:
- パフォーマンスが約15%向上:新しいクエリビルダーの最適化により、データベース処理が高速化
- セキュリティの強化:最新のセキュリティパッチが適用され、脆弱性リスクが大幅に軽減
- 開発効率の向上:新機能により、同じ機能を実装するのに必要なコード量が20%削減
事前準備:失敗しないための下準備
バックアップの作成
過去の経験から、「バックアップを取らずにアップグレードして失敗」というケースを何度も見てきました。必ず以下を実行してください:
# データベースのバックアップ
mysqldump -u username -p database_name > backup_$(date +%Y%m%d).sql
# プロジェクト全体のバックアップ
tar -czf project_backup_$(date +%Y%m%d).tar.gz /path/to/your/project
開発環境での検証
本番環境でいきなりアップグレードするのは危険です。まずは開発環境で以下の手順を実行しましょう。
実践的なアップグレード手順
1. Composerの要件確認
Laravel10ではPHP 8.1以上が必要です。まずPHPバージョンを確認:
php -v
PHP 8.0以下の場合は、先にPHPのアップグレードが必要です。
2. composer.jsonの更新
composer.jsonのLaravelバージョンを更新:
{
"require": {
"php": "^8.1",
"laravel/framework": "^10.0"
}
}
3. 依存関係の更新
composer update
この時点でエラーが発生する場合があります。よくあるのが、サードパーティパッケージの互換性問題です。
4. 設定ファイルの調整
config/sanctum.php の更新
Laravel10では、Sanctumの設定に変更があります:
// 新しい設定項目
'expiration' => null,
'token_retrieval' => [
'header' => 'Authorization',
'cookie' => 'laravel_token',
],
5. 非推奨機能の対応
Laravel10で削除された機能の対応が必要です。特に注意すべき点:
dispatchNow()メソッドの削除:dispatchSync()に置き換えRoute::home()の削除:手動でルート定義が必要
// 修正前
MyJob::dispatchNow($data);
// 修正後
MyJob::dispatchSync($data);
よくある失敗とその対処法
ケース1:パッケージの互換性エラー
「あるクライアントでは、決済システムのパッケージがLaravel10に対応していませんでした。」
対処法:
- パッケージの最新版を確認
- 代替パッケージの検討
- 必要に応じてフォークして修正
ケース2:カスタムミドルウェアのエラー
症状:
Method Illuminate\Http\Request::route() should not be accessed before running the routing middleware
対処法: ミドルウェアの優先度を調整し、ルーティングミドルウェアの後に実行されるよう設定。
テストとデプロイ
自動テストの実行
# 全テストの実行
php artisan test
# 特定の機能テスト
php artisan test --testsuite=Feature
段階的デプロイ
本番環境でのデプロイは段階的に行うことをお勧めします:
- ステージング環境での最終確認
- メンテナンスモードでの本番デプロイ
- 監視強化期間の設定
# メンテナンスモードの有効化
php artisan down
# アップグレード作業
composer install --no-dev --optimize-autoloader
php artisan migrate
php artisan config:cache
php artisan route:cache
# メンテナンスモードの解除
php artisan up
アップグレード後の監視ポイント
アップグレード完了後、以下の点を重点的に監視してください:
- エラーログの確認:新しいエラーが発生していないか
- パフォーマンス監視:応答時間に変化がないか
- 機能テスト:重要な機能が正常に動作するか
今すぐ始めるべきアクション
Laravel9から10へのアップグレードを検討している方は、まず以下から始めてください:
- 現在の依存関係を確認:
composer showでパッケージの互換性をチェック - テスト環境の準備:本番環境と同じ構成のテスト環境を構築
- バックアップ計画の策定:データベースとファイルのバックアップ手順を文書化
まとめ
Laravel9から10へのアップグレードは、適切な準備と段階的なアプローチを取ることで、安全に実行できます。パフォーマンスの向上やセキュリティの強化など、アップグレードによる恩恵は大きいものです。
ただし、プロジェクトの規模や複雑さによっては、専門的な知識と経験が必要になる場合もあります。不安がある場合は、無理をせずに専門家にご相談することをお勧めします。
Fivenine Designでは、20年以上のWeb開発実績をもとに、Laravel アップグレードのサポートも行っております。お困りの際は、お気軽にご相談ください。