デザイン 2025.11.14

デザイン発注で失敗しないための準備術:制作会社との効果的なコミュニケーション方法

約7分で読めます

デザイン発注でよくある失敗を防ぐための具体的な準備方法と、制作会社との円滑なコミュニケーション術を実案件ベースで解説します。

こんな悩み、ありませんか?

「デザインを発注したけど、思っていたものと全然違うものが上がってきた」「何度修正しても、なかなかイメージ通りにならない」「追加料金が発生して予算をオーバーしてしまった」

Web担当者や経営者の方からよく聞く声です。実は、これらの問題の多くは発注前の準備とコミュニケーションの取り方で防ぐことができるのです。

横浜でWeb制作を20年以上手がけてきた私たちFivenine Designが、実際の案件での経験をもとに、失敗しないデザイン発注のポイントをお伝えします。

なぜデザイン発注で失敗が起きるのか

よくある失敗パターン

あるクライアントのケースです。「おしゃれで洗練されたサイトにしたい」という依頼でプロジェクトがスタートしました。しかし、初回提案で「思っていたのと違う」という反応が。

詳しくヒアリングすると、クライアントの「おしゃれ」は温かみのある親しみやすいデザインを指していましたが、制作サイドはクールでモダンなデザインを想像していたのです。

失敗の原因は明確でした:

  • 抽象的なキーワードでの依頼
  • 具体的な参考サイトの共有不足
  • ターゲットユーザー像の認識ズレ
  • プロジェクトの成功指標が曖昧

発注前に準備すべき5つのポイント

1. 目的と目標を数値で明確化する

「かっこいいサイトにしたい」ではなく、「20代女性の資料請求を月10件から30件に増やしたい」など、具体的な成果目標を設定しましょう。

【良い例】
目的:新規顧客獲得
目標:月間問い合わせ数を現在の15件から50件に増加
ターゲット:30-40代の中小企業経営者
重要指標:問い合わせフォーム到達率、フォーム完了率

2. 参考サイトを3-5つ収集する

言葉では伝わりにくいデザインイメージも、参考サイトがあれば一目瞭然です。ただし、収集時のポイントがあります:

  • なぜそのサイトを選んだか理由を明記
  • 全体のデザインなのか、特定の要素(色使い、レイアウトなど)なのかを特定
  • 業界は違ってもデザインテイストが参考になるものも含める

3. 現在の課題を具体的に洗い出す

あるクライアントでは、「サイトからの問い合わせが少ない」という漠然とした課題から始まりました。詳しく分析すると:

  • スマホでの表示が崩れていた(アクセスの70%がスマホ)
  • 問い合わせフォームが分かりにくい場所にあった
  • サービス内容の説明が専門用語だらけで分かりにくい

結果、デザインリニューアルで問い合わせが月5件から25件に改善。課題の具体化が成功の鍵でした。

4. 予算と期間に優先順位をつける

理想をすべて盛り込むと予算オーバーは避けられません。以下のような整理をおすすめします:

【優先度A(必須)】
- レスポンシブ対応
- 問い合わせフォーム改善
- サービス紹介ページのリニューアル

【優先度B(できれば)】
- アニメーション効果
- 会社紹介動画の埋め込み

【優先度C(将来的に)】
- 多言語対応
- 高度な検索機能

5. 社内の意思決定フローを整理する

制作が進んでから「上司の承認が必要でした」となると、スケジュールが大幅に遅れます。事前に以下を確認しましょう:

  • 最終決定権者は誰か
  • 確認・承認に必要な日数
  • 修正指示の窓口担当者(複数名からの異なる指示を避ける)

制作会社との効果的なコミュニケーション術

進行中のコミュニケーションのコツ

フィードバックは具体的に

悪い例:「なんかイメージと違います」 良い例:「ヘッダー部分の青色がコーポレートカラーより濃すぎるようです。もう少し明るい青(#3498dbのような)にできますでしょうか」

修正指示はまとめて出す

細かい修正を都度出すより、一度に整理して伝える方が効率的です。私たちが推奨するフォーマット:

【修正依頼_2024年XX月XX日】

■全体について
- 文字サイズを全体的に1.2倍に拡大

■トップページ
- メインビジュアルの写真を添付画像に変更
- キャッチコピーを「○○○○」に修正

■会社概要ページ
- 代表者の写真を更新(添付参照)
- 住所の表記を修正

■優先度
高:メインビジュアル写真、代表者写真
中:文字サイズ、住所表記
低:キャッチコピー

よくある失敗とその対策

失敗例1:デザインの方向性がブレる

**原因:**複数の担当者がそれぞれ異なる指示を出す **対策:**窓口担当者を1名に絞る。社内で調整してから制作会社に伝達

失敗例2:想定外の追加費用が発生

**原因:**途中でページ数や機能の追加を依頼 **対策:**契約時に追加作業の料金体系を確認。変更時は必ず見積もりを取る

失敗例3:完成後に大幅修正が必要になる

**原因:**途中の確認を怠った **対策:**ワイヤーフレーム段階、デザインカンプ段階で必ず社内確認を徹底

成功事例:効果的な発注準備が生んだ結果

ある製造業のクライアントでの事例です。事前準備を徹底的に行った結果:

準備段階:

  • 競合サイト10社を分析し、差別化ポイントを明確化
  • 既存顧客50社にアンケートを実施し、ニーズを数値化
  • 社内の意思決定フローを図式化して共有

結果:

  • 制作期間を予定より2週間短縮
  • 修正回数を最小限に抑制(デザインカンプ段階で1回のみ)
  • サイト公開後3ヶ月で問い合わせが180%増加

「準備に時間をかけた分、制作がスムーズに進み、期待以上の結果が得られました」とのお声をいただいています。

技術面での注意点

レスポンシブデザインの重要性

現在のWebアクセスの多くはモバイルデバイスからです。デザイン発注時は必ずレスポンシブ対応を確認しましょう。

/* 良いレスポンシブデザインの例 */
.container {
  max-width: 1200px;
  margin: 0 auto;
  padding: 0 20px;
}

@media (max-width: 768px) {
  .container {
    padding: 0 15px;
  }
}

CMS選択の判断基準

WordPressやNext.jsなど、技術選択も重要です:

WordPress適用ケース:

  • 頻繁なコンテンツ更新が必要
  • ITリテラシーがそれほど高くない担当者が更新
  • プラグインで機能拡張したい

Next.js適用ケース:

  • 高速表示が必須
  • SEOを重視
  • 将来的なシステム連携を予定

まず何から始めるべきか

デザイン発注を成功させるための最初のステップ

  1. 現状分析シートの作成(1週間)

    • 現在のWebサイトの課題整理
    • アクセス解析データの収集
    • 競合サイトの調査
  2. 社内体制の整備(3日)

    • プロジェクト責任者の決定
    • 意思決定フローの文書化
    • 予算と期間の社内合意
  3. 要件定義書の作成(1週間)

    • 目的・目標の数値化
    • 参考サイトの収集と選定理由の明記
    • 必要な機能の優先順位付け

しっかりとした準備があれば、制作会社との打ち合わせも具体的で建設的なものになり、期待通りの成果が得られるはずです。

**もし準備段階でお困りのことがあれば、私たちFivenine Designにご相談ください。**20年以上の経験をもとに、プロジェクト成功のためのアドバイスをさせていただきます。

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