Laravel 2025.11.19

中小企業がLaravel開発で必要な機能を整理する方法|要件定義のコツ

約6分で読めます

Laravel開発の成功は要件定義で決まります。中小企業が陥りがちな「機能過多」や「後出し要件」を防ぎ、コスト効率よく目的を達成するための実践的な整理方法をご紹介します。

こんな悩みありませんか?

「Laravel開発を検討しているが、どんな機能が必要か整理できない」 「要件を制作会社に伝えたら、予想以上に高額な見積もりが出てきた」 「開発途中で『あれも必要、これも必要』となり、予算オーバーしてしまった」

横浜でWeb制作を20年以上手がけてきた経験から言えるのは、Laravel開発の成功は要件定義で9割決まるということです。特に中小企業の場合、限られた予算で最大限の効果を得るために、機能の優先順位付けが重要になります。

実案件で学んだ要件定義の失敗パターン

よくある失敗例:機能詰め込み型の要件定義

あるクライアントの製造業A社では、最初の要件定義でこのようなリストが出てきました:

  • 顧客管理システム
  • 在庫管理機能
  • 売上分析ダッシュボード
  • ECサイト機能
  • 社員勤怠管理
  • ファイル共有機能
  • チャット機能

一見すると「全部必要そう」に見えますが、実際にヒアリングを重ねると、**本当に解決したい課題は「顧客情報の属人化」**でした。他の機能は「あったら便利」レベルで、優先度が低いものばかり。

結果として、要件を整理し直し、まずは顧客管理に特化したシステムを構築。3ヶ月後には「営業効率が30%向上した」「顧客対応の漏れがなくなった」という成果が出ました。

Laravel開発で機能を整理する5つのステップ

ステップ1:現状の課題を言語化する

機能ありきではなく、解決したい課題から逆算して考えます。

課題整理のテンプレート:

  • 現在困っていることは何か?
  • その課題により、どんな損失が発生しているか?
  • 課題が解決されると、どんな状態になるか?

例えば、「Excel管理が大変」ではなく「顧客情報の更新が遅れて、重複営業が発生し、月20時間の無駄が生じている」と具体化します。

ステップ2:Must Have / Nice to Have で分類

すべての要望を以下の3つに分類します:

Must Have(必須機能):

  • システムの核となる機能
  • この機能がないとビジネスが回らない

Should Have(重要機能):

  • あると業務効率が向上する
  • 将来的に必要になる可能性が高い

Nice to Have(希望機能):

  • あったら便利だが、なくても困らない
  • 予算に余裕があれば検討

ステップ3:ROI(投資対効果)を算出

各機能について、簡単なROI計算を行います:

ROI = (効果による利益 - 開発コスト) / 開発コスト × 100

計算例:

  • 顧客管理機能:開発費100万円、月10時間の工数削減(年間120万円相当)
  • ROI = (120万円 - 100万円) / 100万円 × 100 = 20%

ステップ4:段階的リリース計画を作成

Laravelの利点を活かし、**MVP(Minimum Viable Product)**から始めて段階的に機能を追加する計画を立てます。

フェーズ1(MVP):

  • 最小限の機能でリリース
  • 実際の運用でフィードバックを収集

フェーズ2:

  • フィードバックを元に機能改善
  • Should Have機能を追加

フェーズ3:

  • Nice to Have機能の検討
  • より高度な機能の実装

ステップ5:技術的制約と予算の整合性確認

整理した機能が技術的・予算的に実現可能かを確認します。

チェックポイント:

  • Laravel で実現可能か?
  • 外部システムとの連携は必要か?
  • セキュリティ要件は満たせるか?
  • 予算内で実装できるか?

実践的な要件整理シート

実際のプロジェクトで使用している要件整理シートをご紹介します:

【機能名】
課題:
期待効果:
優先度:Must/Should/Nice
開発工数見込み:
ROI:
技術的課題:

記入例:

【機能名】顧客一覧・検索機能
課題:Excel管理で顧客情報の検索に時間がかかる
期待効果:検索時間を5分→30秒に短縮、月20時間削減
優先度:Must
開発工数見込み:40時間
ROI:年間240万円の工数削減効果
技術的課題:既存顧客データのマイグレーション

制作会社との効果的なコミュニケーション方法

要件が整理できたら、制作会社との打ち合わせで以下を伝えます:

背景情報の共有

  • 会社の事業内容
  • 現在の課題
  • システム化で実現したいこと

具体的な要件

  • 整理した機能リスト
  • 優先度と理由
  • 予算感と希望スケジュール

効果的な伝え方の例: 「弊社では顧客管理が属人化しており、営業効率の低下が課題です。まずは顧客情報の一元管理から始めて、将来的に営業分析機能も追加したいと考えています。第一段階の予算は300万円程度を想定しています」

やってはいけない要件定義の落とし穴

1. 他社事例の丸コピー

「A社と同じようなシステムを作って」は危険です。業務プロセスが異なるため、必要な機能も変わります。

2. 完璧主義

「最初からすべての機能を盛り込みたい」という考えは、プロジェクトの失敗リスクを高めます。段階的なアプローチが成功の秘訣です。

3. 技術仕様の先走り

「Laravel 10を使って、Vue.jsで...」といった技術仕様から入るのではなく、まずはビジネス要件を固めることが重要です。

まとめ:成功する要件定義のポイント

Laravel開発を成功させる要件定義のコツ:

  1. 課題ファースト:技術ありきではなく、解決したい課題から考える
  2. 優先順位:Must/Should/Nice の分類で機能を整理
  3. 段階的アプローチ:MVPから始めて徐々に機能を拡充
  4. ROI重視:投資対効果を数値で把握
  5. コミュニケーション:制作会社との認識合わせを徹底

次のアクションステップ

まずは以下のステップから始めてください:

  1. 現状の課題を書き出す(30分)
  2. 解決したい順に優先順位をつける(15分)
  3. Must Have機能を3つに絞る(15分)

もし要件整理の過程で「これで合っているか不安」「技術的に実現可能か分からない」といった疑問が生じましたら、お気軽にご相談ください。横浜を拠点に20年以上の実績を持つFivenine Designでは、要件定義の段階からしっかりとサポートし、中小企業様の限られた予算で最大限の効果を実現するお手伝いをいたします。

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