問い合わせフォームの完了率が低くて困っていませんか?離脱の原因とUIデザインの改善点を実案件をもとに解説します。
こんな悩み、ありませんか?
「問い合わせフォームを設置したのに、途中で離脱される」「アクセスはあるのに問い合わせにつながらない」「入力完了率を上げたいけど、どこを改善すればよいか分からない」
そんなお悩みをお持ちのWeb担当者の方に向けて、実際の制作現場で培った問い合わせフォームのUI改善術をお伝えします。
なぜフォームで離脱が起きるのか?実データから見える課題
あるクライアント様(製造業)のWebサイトでは、問い合わせページへのアクセスは月間500件あるものの、実際の問い合わせ完了は月10件程度という状況でした。完了率わずか2%という数字に、私たちも驚きました。
Google Analyticsでユーザーの行動を分析すると、離脱のポイントが明確に見えてきました:
- 入力項目を見た瞬間の離脱:35%
- 入力途中での離脱:40%
- 確認画面での離脱:23%
- 完了:2%
この数字から、フォームの第一印象とユーザビリティに大きな問題があることが判明したのです。
離脱される5つの主要原因とその解決策
1. 入力項目が多すぎる問題
課題: 「念のため」と項目を増やしがちですが、ユーザーにとっては大きな負担
解決策: 本当に必要な項目だけに絞り込む
前述のクライアント様では、当初15項目あった入力欄を5項目に削減。その結果、完了率が2%から12%まで改善しました。
<!-- 改善前:項目が多すぎる例 -->
<form>
<input type="text" placeholder="会社名" required>
<input type="text" placeholder="部署名" required>
<input type="text" placeholder="役職" required>
<input type="text" placeholder="担当者名" required>
<input type="email" placeholder="メールアドレス" required>
<input type="tel" placeholder="電話番号" required>
<input type="text" placeholder="FAX番号">
<!-- さらに多数の項目... -->
</form>
<!-- 改善後:必要最小限に絞った例 -->
<form>
<input type="text" placeholder="お名前" required>
<input type="email" placeholder="メールアドレス" required>
<input type="tel" placeholder="電話番号">
<select name="inquiry-type" required>
<option value="">お問い合わせ種別を選択</option>
<option value="product">製品について</option>
<option value="price">価格について</option>
</select>
<textarea placeholder="お問い合わせ内容" required></textarea>
</form>
2. エラー表示のタイミングが悪い
課題: 送信ボタンを押してからエラーが表示される
解決策: リアルタイムバリデーションの導入
ユーザーが入力した瞬間にエラーをチェックし、適切なフィードバックを提供することで、ストレスを大幅に軽減できます。
// リアルタイムバリデーションの実装例
const emailInput = document.querySelector('input[type="email"]');
const errorMessage = document.querySelector('.error-message');
emailInput.addEventListener('blur', function() {
const email = this.value;
const emailPattern = /^[^\s@]+@[^\s@]+\.[^\s@]+$/;
if (!emailPattern.test(email) && email !== '') {
this.classList.add('error');
errorMessage.textContent = '正しいメールアドレスを入力してください';
errorMessage.style.display = 'block';
} else {
this.classList.remove('error');
errorMessage.style.display = 'none';
}
});
3. スマホでの入力しづらさ
課題: PCでは問題ないが、スマホで入力しづらい
解決策: モバイルファーストのフォームデザイン
あるECサイトのクライアント様では、アクセスの70%がスマホからでした。しかし問い合わせの完了率はPC版と比べて半分以下という状況。フォームをモバイル最適化することで、完了率が3倍に向上しました。
/* モバイル最適化のCSS例 */
.form-group {
margin-bottom: 24px;
}
.form-input {
width: 100%;
padding: 16px;
font-size: 16px; /* iOSでズームを防ぐ */
border: 2px solid #e1e5e9;
border-radius: 8px;
box-sizing: border-box;
}
.form-input:focus {
border-color: #007bff;
outline: none;
box-shadow: 0 0 0 3px rgba(0, 123, 255, 0.1);
}
/* 送信ボタンはタップしやすいサイズに */
.submit-button {
width: 100%;
padding: 18px;
font-size: 18px;
min-height: 48px;
}
4. 進捗が見えない不安感
課題: ユーザーが「あとどのくらい入力すればよいか」分からない
解決策: プログレスバーや段階表示の導入
特に長めのフォームでは、進捗表示があることでユーザーの完了率が向上します。
<!-- プログレスバーの実装例 -->
<div class="progress-container">
<div class="progress-bar">
<div class="progress-fill" style="width: 60%;"></div>
</div>
<div class="progress-text">ステップ 2/3</div>
</div>
<style>
.progress-container {
margin-bottom: 32px;
}
.progress-bar {
width: 100%;
height: 8px;
background-color: #f0f0f0;
border-radius: 4px;
overflow: hidden;
}
.progress-fill {
height: 100%;
background-color: #007bff;
transition: width 0.3s ease;
}
.progress-text {
text-align: center;
margin-top: 8px;
font-size: 14px;
color: #666;
}
</style>
5. 送信後の不安を取り除けていない
課題: 送信ボタンを押した後、本当に送信されたか不安になる
解決策: 明確なフィードバックと次のステップの提示
よくある改善の落とし穴と注意点
落とし穴1:デザインばかりに気を取られる
見た目を美しくすることも大切ですが、ユーザビリティを犠牲にしては本末転倒です。あるクライアント様では、デザイナーが作った美しいフォームの完了率が予想外に低く、調査してみると「必須項目が分からない」「エラー表示が見づらい」といった基本的な問題が見つかりました。
落とし穴2:一度に全てを変更してしまう
フォーム改善は段階的に行うことが重要です。すべてを一度に変更すると、どの変更が効果的だったか分からなくなります。A/Bテストを活用し、一つずつ検証していくことをお勧めします。
実装後の効果測定方法
フォーム改善の効果は、以下の指標で測定します:
- コンバージョン率(完了率)
- 各ステップでの離脱率
- 入力時間の短縮
- エラー発生率の減少
Google AnalyticsやHotjarなどのツールを使って、定期的に数値を確認し、さらなる改善点を見つけていくことが大切です。
まとめ:まず何から始めるべきか
問い合わせフォームの改善は、小さな変更でも大きな効果を生み出します。
まずは以下の順番で取り組んでみてください:
- 現在のフォームの完了率を測定(Google Analyticsの設定)
- 入力項目の見直し(本当に必要な項目だけに絞る)
- スマホでの表示・操作性チェック
- エラー表示の改善(リアルタイムバリデーション)
- 効果測定と継続改善
もし「自社のフォームの問題点が分からない」「技術的な実装が難しい」という場合は、お気軽にご相談ください。Fivenine Designでは、20年以上の実績をもとに、お客様のビジネスに最適なフォーム改善をご提案いたします。