インフラ・運用 2026.01.12

Manjaro Linux完全ガイド - Archの強さをもっと簡単に

約16分で読めます

Arch Linuxの高機能さは欲しいけれど、難しすぎて諦めていませんか?Manjaro LinuxならArch Linuxの強力さをそのままに、GUIインストーラーとユーザーフレンドリーな設計で誰でも扱えるようになります。

Linuxの理想と現実のギャップに悩んでいませんか?

開発環境として「Arch Linuxが最強だと聞いたけれど、設定が複雑すぎて手が出せない」「Ubuntuでは物足りないが、かといってArchは敷居が高い」「常に最新のパッケージを使いたいが、安定性も重要」こんな悩みを抱えているWeb開発者の方は少なくありません。

神奈川でWeb制作を20年以上手がけてきた弊社Fivenine Designでも、開発チームから「もっと柔軟で強力なLinux環境が欲しい」という声が上がっていました。特にLaravelやNext.jsを使った最新のWeb開発では、パッケージの新鮮さと安定性の両立が不可欠です。

そんな中で出会ったのがManjaro Linuxです。Arch Linuxの強力さを保ちながら、初心者でも簡単にセットアップできるこのディストリビューションは、まさに理想と現実の橋渡しをしてくれる存在でした。

なぜArch Linuxは「難しい」と言われるのか

コマンドライン中心のインストール

Arch Linuxの最大の障壁は、すべてがコマンドラインベースで進行することです。パーティショニングからブートローダーの設定まで、一つ間違えれば起動しないシステムが出来上がってしまいます。

# Arch Linuxの典型的なインストール手順の一例
fdisk /dev/sda
mkfs.ext4 /dev/sda1
mount /dev/sda1 /mnt
pacstrap /mnt base linux linux-firmware
genfstab -U /mnt >> /mnt/etc/fstab
# この後も複雑な設定が続く...

これらの手順を理解し、確実に実行するには相当な Linux の知識と経験が必要です。

ローリングリリースによるリスク

Arch Linuxは「ローリングリリース」という、常に最新版へ更新され続けるモデルを採用しています。これにより最新機能をいち早く使える反面、アップデート時に予期しない不具合に遭遇するリスクもあります。

パッケージ管理の複雑さ

AUR(Arch User Repository)という膨大なコミュニティパッケージ群へのアクセス方法や、依存関係の解決など、パッケージ管理も初心者には複雑に感じられます。

Manjaro LinuxがArchを「簡単」にする仕組み

1. 直感的なGUIインストーラー「Calamares」

Manjaro Linuxの最大の特徴は、Calamaresという洗練されたGUIインストーラーです。Windowsのセットアップのような感覚で、クリックとドラッグだけでシステムを構築できます。

実際に弊社でテストした結果、Arch Linuxで3時間かかっていたインストール作業が、Manjaroなら20分程度で完了しました。

2. 複数のデスクトップ環境から選択可能

Manjaro Linuxでは、主要な3つのデスクトップ環境が公式にサポートされています:

モダンで美しい見た目と高いカスタマイズ性を誇るデスクトップ環境。Windowsからの移行者にも馴染みやすいインターフェースです。

# KDE版の特徴
- アニメーション豊富なUI
- 豊富なウィジェット
- 高度なカスタマイズ機能

3. AUR(Arch User Repository)への簡単アクセス

Manjaro LinuxはArchのパッケージをそのまま利用できるため、AURの膨大なソフトウェアライブラリにアクセスできます。さらに、pamacというGUIパッケージマネージャーにより、AURパッケージも簡単にインストール可能です。

# コマンドラインでのAURパッケージインストール
sudo pacman -S base-devel git
git clone https://aur.archlinux.org/visual-studio-code-bin.git
cd visual-studio-code-bin
makepkg -si

# Manjaroなら、GUIから一発インストール
# pamac install visual-studio-code-bin

4. 安定性を重視したローリングリリース

Manjaro LinuxはArch Linuxをベースにしながらも、独自のテスト期間を設けています。Archで公開されたパッケージは、約2週間のテスト期間を経てManjaroに提供されるため、安定性とフレッシュさを両立できます。

実践的なManjaro Linuxセットアップ手順

インストール前の準備

  1. ISOファイルのダウンロード Manjaro公式サイトから、希望するデスクトップ環境のISOファイルをダウンロードします。

  2. 起動可能USBの作成 RufusやEtcherを使用してUSBメモリに書き込みます。

# Linuxでの起動USBの作成
sudo dd if=manjaro-kde-21.3.7-220816-linux515.iso of=/dev/sdb bs=4M status=progress && sync

Calmaresによるインストール

  1. 言語とキーボードレイアウトの設定

    • 日本語を選択
    • キーボードレイアウトで「Japanese」を選択
  2. パーティション設定 自動パーティション機能を使用するか、手動で以下の構成を推奨:

    • /boot/efi:512MB(UEFI環境の場合)
    • /:20GB以上
    • /home:残り容量
    • swap:RAM容量と同じサイズ
  3. ユーザーアカウント作成 管理者権限を持つユーザーアカウントを作成します。

初期設定とWeb開発環境の構築

# システムアップデート
sudo pacman -Syu

# 基本開発ツールのインストール
sudo pacman -S base-devel git curl wget vim

# Node.js開発環境
sudo pacman -S nodejs npm

# PHP開発環境(Laravel用)
sudo pacman -S php php-composer

# データベース
sudo pacman -S mysql mariadb

AUR helper「yay」の導入

# yayのビルドとインストール
git clone https://aur.archlinux.org/yay.git
cd yay
makepkg -si

# VS Codeのインストール(AUR経由)
yay -S visual-studio-code-bin

# Google Chromeのインストール
yay -S google-chrome

よくある失敗パターンと対処法

1. アップデート後の起動トラブル

症状:システムアップデート後にX11やWaylandが起動しない

原因:グラフィックドライバーとカーネルの不整合

対処法

# TTYモードで起動(Ctrl+Alt+F2)
sudo pacman -S linux515  # 安定版カーネルに戻す
sudo mhwd -a pci nonfree 0300  # グラフィックドライバーを再インストール

予防策

  • 重要な作業前にはTimeshiftでスナップショットを作成
  • カーネルは安定版(LTS)を使用することを推奨

2. AURパッケージのビルドエラー

症状makepkg実行時にコンパイルエラーが発生

原因:依存関係の不足や、開発ツールの未インストール

対処法

# 基本的な開発環境を確実にインストール
sudo pacman -S --needed base-devel

# 個別の依存関係を確認してインストール
# PKGBUILDファイルのdepends配列を確認
cat PKGBUILD | grep depends

3. 日本語入力環境の不調

症状:fcitxやibus経由での日本語入力ができない

対処法

# fcitx5とmozc(推奨)のインストール
sudo pacman -S fcitx5-im fcitx5-mozc fcitx5-configtool

# 環境変数の設定(~/.xprofileに追記)
echo 'export GTK_IM_MODULE=fcitx' >> ~/.xprofile
echo 'export QT_IM_MODULE=fcitx' >> ~/.xprofile
echo 'export XMODIFIERS=@im=fcitx' >> ~/.xprofile

4. パッケージの競合問題

症状:pacmanでパッケージインストール時に競合エラー

対処法

# 競合するパッケージを一時的に削除してからインストール
sudo pacman -Rdd conflicting-package
sudo pacman -S new-package

# orphanパッケージのクリーンアップ
sudo pacman -Rns $(pacman -Qtdq)

実案件での活用事例:開発効率の劇的改善

弊社のあるクライアント向けLaravelプロジェクトでは、開発チーム全員をManjaro Linuxに移行することで、開発効率が大幅に向上しました。

移行前の課題

  • Ubuntuでの古いPHPバージョンによる制約
  • 最新のNode.jsパッケージとの互換性問題
  • 開発環境構築に半日〜1日を要する

Manjaro導入後の改善

  • 常に最新のPHP、Node.jsを利用可能
  • AURにより、開発に必要なツールが豊富に揃う
  • 環境構築時間が1/3に短縮

特に、Composerの依存関係解決や、npm installの速度において、Arch Linuxベースの恩恵を実感できました。

セキュリティ面での考慮事項

Web制作会社としてクライアントデータを扱う立場から、セキュリティ設定も重要です:

# ファイアウォールの設定
sudo pacman -S ufw
sudo ufw enable
sudo ufw default deny incoming
sudo ufw default allow outgoing
sudo ufw allow ssh

# 自動セキュリティアップデート
sudo pacman -S arch-audit
# 定期的な脆弱性チェック
arch-audit

解決できない場合は

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まとめと次のステップ

Manjaro Linuxは「Archの強力さ」と「初心者フレンドリーさ」を見事に両立させたディストリビューションです。特にWeb開発においては、最新のツールチェーンへ素早くアクセスできる点で大きなメリットがあります。

弊社での導入事例を見ても、開発効率の向上は明らかで、クライアントワークにおける品質向上にも寄与しています。Ubuntu等の固定リリース版では実現できない「フレッシュさ」と「安定性」の絶妙なバランスが、Manjaro最大の魅力と言えるでしょう。

導入を成功させるポイント

  • まずは仮想環境やサブマシンでテスト運用
  • 重要なデータは必ず外部にバックアップ
  • コミュニティやWikiを積極的に活用
  • 段階的にチーム全体へ展開

Linux環境での開発基盤強化や、より効率的な開発ワークフロー構築についてお困りの際は、ぜひお気軽にご相談ください。20年以上のWeb制作実績を活かし、最適な開発環境構築をサポートいたします。

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