Web保守の外注を検討中の方へ。契約前に確認すべき範囲・料金・SLA等のポイントを、20年の実績を持つ制作会社が実案件の事例とともに解説します。
こんな悩み、ありませんか?
「Webサイトの保守管理を外注したいけど、契約で何を確認すれば良いのか分からない」 「前の業者との契約で痛い目にあった。今度は失敗したくない」 「保守費用の相場感が掴めず、適正価格なのか判断できない」
横浜でWeb制作を20年以上手がけてきた中で、保守契約に関するトラブルや「こんなはずじゃなかった」という相談を数多く受けてきました。多くの場合、契約時の確認不足が原因です。
今回は、実際のトラブル事例をもとに、保守管理を外注する前に必ず確認すべき契約のポイントを解説します。
保守範囲の明文化が成功のカギ
よくある失敗:「軽微な修正」の認識違い
ある製造業のクライアントから相談を受けた事例です。前の業者との契約で「軽微な修正は月3回まで無料」という条件がありましたが、以下のような認識の違いがありました。
クライアント側の認識:
- 商品情報の追加・修正
- 新着情報の投稿
- 画像の差し替え
業者側の認識:
- テキストの誤字脱字修正のみ
- 画像差し替えは別途料金
- 新規ページ作成は対象外
結果として、想定していた更新作業のほとんどが別料金となり、月額費用が予算の3倍に膨らんでしまいました。
保守範囲を明確にする具体的な方法
契約書に以下の項目を具体的に記載することをお勧めします:
技術的保守
- サーバー監視・管理
- セキュリティアップデート
- バックアップ作成・管理
- SSL証明書更新
- WordPressやプラグインのアップデート
コンテンツ更新
- テキスト修正(月○文字まで)
- 画像差し替え(月○点まで)
- 新着情報投稿(月○件まで)
- PDFファイルアップロード
対象外作業の例示
- 新規ページ作成
- デザイン変更
- 機能追加
- SEO対策
SLA(サービス品質保証)の重要性
障害対応時間で事業影響が変わる
ECサイトを運営するアパレル会社の事例では、セール期間中にサーバー障害が発生しました。
SLA未設定の場合:
- 復旧まで8時間
- セール売上の30%を逸失
- 顧客からのクレーム多数
適切なSLA設定後:
- 緊急時は1時間以内に初動対応
- 営業時間内は4時間以内に復旧
- 月次での稼働率99.9%を保証
この変更により、その後の障害時も迅速な対応で事業への影響を最小限に抑えることができました。
設定すべきSLA項目
【推奨SLA設定例】
■ 緊急度:高(サイト停止、セキュリティ事故)
- 初動対応:1時間以内
- 復旧目標:4時間以内
- 対応時間:24時間365日
■ 緊急度:中(表示不具合、機能障害)
- 初動対応:営業時間内2時間以内
- 復旧目標:営業時間内8時間以内
■ 緊急度:低(軽微な修正、要望対応)
- 対応開始:3営業日以内
- 完了目標:5営業日以内
料金体系の透明性を確保する
隠れコストに注意
多くのトラブルは、契約時に想定していなかった追加費用から生まれます。
確認すべき費用項目:
- 基本保守費用:月額固定費
- 従量課金:作業時間や回数による追加費用
- 緊急対応費:営業時間外の作業料金
- 年次費用:ドメイン更新、SSL証明書費用
- 解約費用:契約期間内解約時のペナルティ
適正価格の見極め方
20年の経験から見た、中小企業向け保守費用の相場観:
【WordPress サイト(10ページ程度)】
・基本保守:月額 15,000〜25,000円
・コンテンツ更新込み:月額 25,000〜40,000円
【カスタムシステム(Laravel/Next.js等)】
・基本保守:月額 30,000〜50,000円
・機能改修対応込み:月額 50,000〜80,000円
極端に安い業者は要注意です。適切な保守作業を行うには一定のコストが必要で、安すぎる場合は作業品質や対応速度に問題がある可能性があります。
契約期間と解約条件の落とし穴
自動更新契約の注意点
ある小売業のクライアントが、3年間の自動更新契約を結んでいましたが、サービス品質に不満があっても解約時期まで変更できず、機会損失を被った事例がありました。
推奨する契約条件:
- 初回契約:6ヶ月〜1年
- 更新:3ヶ月〜6ヶ月単位
- 解約予告:1〜2ヶ月前
- 正当事由による即時解約条項
データ・資産の取り扱い
契約終了時のトラブル防止
保守契約終了時に「データを渡してもらえない」「ソースコードの権利が不明」といったトラブルを避けるため、以下を契約書に明記しましょう:
- データ返却:契約終了時の対応
- 知的財産権:コンテンツやソースコードの帰属
- アクセス権限:サーバーや管理画面の権限移譲
- 移行サポート:新業者への引き継ぎ対応
契約前にすべき具体的アクション
チェックリストで漏れを防ぐ
契約検討時の確認項目:
- 保守範囲が具体的に記載されているか
- SLA(対応時間・復旧目標)が設定されているか
- 料金体系が透明か(追加費用の条件含む)
- 契約期間・解約条件が適切か
- データ・権利関係の取り扱いが明確か
- 緊急時の連絡体制が整備されているか
- 実績・技術力が自社のシステムに適しているか
まとめ:安心できる保守体制の構築を
Webサイトの保守管理は、事業の継続性に直結する重要な業務です。契約時の確認不足が後々大きなトラブルに発展するケースを数多く見てきました。
まず取るべきアクション:
- 現在の保守ニーズを整理する
- 複数業者から詳細な提案を取る
- 契約書案を法務担当者にも確認してもらう
- 小規模契約から始めて信頼関係を構築する
Fivenine Designでは、20年以上の実績をもとに、お客様のビジネスに最適な保守体制をご提案しています。Laravel、WordPress、Next.jsなど様々な技術に対応し、透明性の高い契約条件で安心してお任せいただけます。
Webサイト保守の外注をご検討の際は、お気軽にご相談ください。現在の契約内容の診断や、適切な保守プランの提案を無料で行っています。