「とりあえず任せたら思っていたものと全然違った」「追加費用が膨らんだ」そんな失敗を防ぐ、発注前の準備と正しい依頼の仕方を解説します。
「お任せします」のひと言が、後悔の始まりになる
こんな経験はありませんか?
「ホームページをリニューアルしたいけど、自分たちには知識がないから、プロに全部お任せしよう」
制作会社との初回打ち合わせで「お任せします」と言ったものの、出来上がったサイトを見て愕然とした——そんな声を、私たちはこれまで数多くのご相談の中で耳にしてきました。
「イメージと全然違う」「欲しかった機能がついていない」「納品されたけど自分たちで更新できない」「追加の修正を頼んだら高額な費用を請求された」……。
こうした失敗の原因の多くは、制作会社の技術力や誠意の問題ではなく、発注側の準備不足にあります。 20年以上にわたってWebサイト制作に携わってきたFivenine Designとして、今回は「丸投げ発注」が失敗に終わるメカニズムと、それを防ぐために発注側がすべき準備を、包み隠さずお伝えします。
なぜ「丸投げ」は失敗しやすいのか
Webサイトの制作は、「家を建てること」に似ています。建築家に「いい感じの家を建ててください」とだけ伝えて、理想通りの家が建つでしょうか。部屋数は?予算は?収納はどれくらい必要?家族構成は?——そういった情報がなければ、どんな優れた建築家も見当違いの設計をしてしまいます。
Webサイトも同じです。制作会社は「プロ」ですが、あなたのビジネスのことを一番よく知っているのは、あなた自身です。制作会社はヒアリングを通じてそれを引き出そうとしますが、発注側が何も準備していなければ、ヒアリングは表面的なものになり、制作会社は「想像」で作るしかなくなります。
私たちの経験上、制作トラブルの過半数は発注側の「準備不足」と「認識のズレ」に起因しています。逆に言えば、発注側がしっかり準備すれば、失敗のリスクは大幅に下げられるということです。
よくある「丸投げ失敗」の3つのパターン
実際にご相談いただいたケースをもとに、典型的な失敗パターンをご紹介します。
パターン①:目的が曖昧なまま発注した
神奈川県内の製造業のA社様のケースです。「古いサイトをリニューアルしたい」というご要望で制作会社に依頼し、約80万円でサイトが完成しました。しかし、完成後も問い合わせはほとんど増えず、「リニューアルした意味がなかった」とご相談にいらっしゃいました。
話を詳しく伺うと、A社様がリニューアルに求めていたのは「デザインを新しくすること」ではなく、**「採用応募を増やすこと」**だったのです。しかし、その目的が最初の発注時に明確に伝わっておらず、制作会社は見栄えを整えることに注力してしまいました。採用向けのコンテンツ設計やSEO対策は、ほぼ手付かずだったのです。
パターン②:更新の仕組みを考えずに発注した
横浜市内の飲食店B社様は、新しいホームページをデザイン会社に依頼し、おしゃれなサイトが完成しました。ところが、メニューや営業時間を変更するたびに制作会社に連絡して更新を依頼しなければならず、毎回1〜3万円の費用が発生。年間で20万円以上の更新費用がかかっていました。
これは、最初から「自分たちで更新できるシステム」を要件に含めていれば避けられたケースです。更新のしやすさ(=誰が・どのくらいの頻度で・何を更新するか)は、制作前に必ず決めておくべき要件のひとつです。
パターン③:追加費用の定義が曖昧だった
ECサイトの構築をC社様が依頼したケース。当初の見積もりは150万円でしたが、制作が進むにつれて「この機能も欲しい」「ここのデザインを変えたい」という追加要望が重なり、最終的に250万円以上に膨れ上がりました。
制作会社が悪質だったわけではありません。最初の契約で「どこまでが対象か」が明文化されていなかったことが原因でした。
flowchart TD
A[ホームページ制作の依頼] --> B{目的・要件は\n明確か?}
B -->|曖昧なまま発注| C[制作会社が想像で制作]
C --> D[認識のズレが発生]
D --> E[修正・追加費用が膨らむ]
E --> F[😰 失敗・後悔]
B -->|しっかり準備して発注| G[制作会社と認識を合わせる]
G --> H[スコープ・仕様を明確化]
H --> I[期待通りの制作が進む]
I --> J[😊 成功・満足]発注前に準備すべき「5つのこと」
失敗を防ぐために、発注前に必ず整理しておきたい5つの項目を解説します。
① サイトの「目的」をひとことで言えるようにする
「なんとなくリニューアルしたい」では危険です。**「このサイトで、誰に、何をしてもらいたいのか」**を一文で言えるようにしましょう。
- 新規顧客からの問い合わせを月10件増やしたい
- 採用応募を年間30件以上獲得したい
- オンライン注文の売上を現状の2倍にしたい
この「目的」が明確であれば、制作会社はそこから逆算してサイトの構成・機能・デザインを提案できます。目的がなければ、提案の根拠がなくなります。
② 参考サイトを3〜5件集める
「おしゃれなサイトにしてください」「シンプルにしてください」という言葉は、人によって全く異なるイメージを持ちます。言葉ではなく、「このサイトのこの部分が好き」という具体的な参考例を用意することで、デザインの認識ズレを大幅に減らせます。
競合他社のサイトでも、全く異なる業種のサイトでも構いません。「なぜこれが好きか」を一言添えると、さらに効果的です。
③ 更新担当者と更新頻度を決める
「誰が・何を・どのくらいの頻度で更新するか」を事前に決めておくと、制作会社が最適なシステムを提案できます。
- 担当者はITが得意か苦手か
- ブログや新着情報は自社で更新するか
- 商品情報やメニューは頻繁に変わるか
これを伝えることで、たとえば「担当者がITが苦手なら、操作しやすい更新システムを導入しましょう」という提案が自然に出てきます。
④ 予算の「上限」を明示する
多くの発注者が「予算を言うと足元を見られる」と思って予算を隠します。しかし実際には逆効果です。予算が不明なまま提案を出す制作会社は、「多め」に見積もるしかありません。
予算を伝えることで、制作会社はその範囲内で最善の提案ができます。「50万円の予算でできる最善の構成」と「100万円の予算でできる最善の構成」は全く異なります。上限を伝えることは、あなたにとっても制作会社にとっても、より良い提案につながります。
⑤ 「何が含まれるか」を契約書で確認する
修正回数・対応ページ数・写真撮影・テキスト作成・SEO対策・公開後のサポート期間——これらが「含まれる」のか「別途費用」なのかを、必ず契約前に書面で確認してください。
口頭での確認は後でトラブルになります。メールや契約書で明文化することが、双方にとっての安心につながります。
| 確認項目 | 確認済み | 未確認 |
|---|---|---|
| 修正の回数制限 | トラブルなし | 追加費用リスクあり |
| テキスト・写真の用意 | スムーズに進行 | 工期遅延の原因に |
| 公開後のサポート範囲 | 安心して運用開始 | 不具合時に困惑 |
| 更新システムの種類 | 自社運用がスムーズ | 毎回外注費が発生 |
| SEO対策の有無 | 集客効果が出やすい | 公開後に追加費用 |
「良い発注者」になると、サイトの質が上がる
ここまで読んでいただくと分かる通り、ホームページ制作の成否は「どこに頼むか」だけでなく、「どう頼むか」にも大きく左右されます。
準備をしっかり行った発注者と組んだ制作会社は、本質的な提案・創造的なアイデアに時間を使えます。一方、要件が曖昧なまま進む案件では、制作会社はヒアリングと認識合わせだけで工数の大半を費やすことになります。
私たちFivenine Designでも、準備が整ったご依頼は最終的な満足度が格段に高くなる傾向があります。「なんでも聞いてください」「一緒に考えましょう」というスタンスの制作会社は信頼できますが、それに甘えて何も準備しないのとは、まったく別の話です。
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まとめ:発注前の準備チェックリスト
制作会社への依頼を「ただの外注」ではなく「ビジネスの投資」として考えるとき、発注側の準備は欠かせません。以下のチェックリストで、発注前の準備状況を確認してみてください。
これらを整理した上で制作会社と向き合えば、認識のズレは最小限に抑えられ、満足のいく仕上がりに近づきます。
**「自分たちだけではうまく整理できない」「どこから手をつければいいか分からない」**という場合は、ぜひFivenine Designにご相談ください。ヒアリングから要件整理まで、発注前の段階からお手伝いしています。20年以上の実績と、中小企業ならではの事情をよく理解したチームが、あなたのビジネスに本当に必要なWebサイトを一緒に考えます。