Web会議中の画面共有で、デスクトップ通知や開いているファイルから重要な情報が漏洩するリスクと、その対策方法を詳しく解説します。
「いつものZoom会議で、まさか機密情報が見られているなんて…」
神奈川でWeb制作を20年以上続けてきた中で、こんな相談を受けることが増えています。
「クライアントとのZoom会議中に画面共有していたら、別の案件のファイル名が見えてしまった」 「デスクトップに表示された通知で、社内の人事情報が一瞬映ってしまった」 「プレゼン中に、メールの受信通知で取引先との機密なやりとりがバレた」
リモートワークが当たり前になった今、Web会議での画面共有は日常的な業務です。しかし、意外と見落とされがちなのが情報漏洩リスク。特に中小企業では、セキュリティ対策が後手に回りがちで、知らず知らずのうちに重要な情報を第三者に見せてしまっているケースが多発しています。
実際に弊社のクライアントでも、画面共有中の不注意で競合他社の情報が漏れてしまい、大きな問題になったケースがありました。今回は、そうした失敗から学んだ実践的な対策方法を、非エンジニアの方にもわかりやすくお伝えします。
なぜZoom画面共有で情報漏洩が起きるのか?
1. デスクトップ全体を共有してしまう危険性
多くの方が陥りがちなのが、デスクトップ全体の画面共有です。「とりあえず全画面を共有すれば大丈夫」という考えが、実は最も危険なパターンです。
デスクトップ全体を共有すると、以下のものがすべて相手に見えてしまいます:
- デスクトップに保存されているファイル名
- タスクバーに表示されている他のアプリケーション
- 通知センターからのポップアップ
- ブラウザのタブタイトル
- フォルダやファイルの名前
2. 通知機能が引き起こすトラブル
Windows 10/11やMacでは、メール受信、Slack通知、カレンダーリマインダーなど、様々な通知が画面右上や右下に表示されます。これらの通知には、以下のような機密情報が含まれることがあります:
3. 実際にあった情報漏洩事例
弊社で対応した実例をご紹介します。ある製造業のクライアント様では、新商品発表会のオンライン配信中に、以下のような情報漏洩が発生しました:
事例1: 人事情報の漏洩
- 画面共有中にOutlookの通知が表示
- 「○○さんの退職について」という件名が配信に映り込む
- 視聴者から問い合わせが殺到
事例2: 競合他社情報の露出
- デスクトップ共有中にフォルダが見える
- 「競合A社_価格調査.xlsx」というファイル名が判読可能
- 業界関係者に戦略が推測される
こうした事例から、画面共有時のセキュリティ対策は必須の業務スキルだということがわかります。
確実に情報漏洩を防ぐ具体的対策
1. 集中モード・通知オフ設定の完全ガイド
通知による情報漏洩を防ぐには、集中モードの設定が最も効果的です。
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集中モードの設定
Windows + Aでアクションセンターを開く- 「集中モード」タイルをクリック
- 「重要な通知のみ」または「アラームのみ」を選択
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詳細設定
- 設定 > システム > 集中モード
- 「プレゼンテーション中は自動的にオンにする」をチェック
- 「全画面でアプリを使用しているときは自動的にオンにする」をチェック
2. アプリケーション別共有設定の使い分け
デスクトップ全体ではなく、特定のウィンドウのみを共有することで、情報漏洩リスクを大幅に削減できます。
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画面共有開始時
- 「画面の共有」をクリック
- 「ウィンドウ」タブを選択
- 共有したい特定のアプリケーションを選択
- 「音声を共有」は必要な場合のみチェック
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安全性を高める設定
- 「画面を共有する際にウィンドウサイズを最適化」をオフ
- これにより他のウィンドウが意図せず映り込むのを防げます
3. デスクトップ環境の事前整理術
画面共有前の環境整理も重要な対策です。
デスクトップ整理のチェックポイント:
実践的な整理方法:
-
専用デスクトップの作成(Windows 10/11)
Windows + Tab → 「新しいデスクトップ」をクリックプレゼン専用の仮想デスクトップを作成し、必要最小限のアプリケーションのみを配置
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一時フォルダの活用
デスクトップに「temp_presentation」フォルダを作成 → 共有が必要なファイルのみを配置 → 会議終了後は削除
4. アプリケーション個別の注意点
PowerPointでの共有
- スライドショーモードを使用する
- 発表者ビューは共有されないことを確認
- ノート欄に機密情報を記載していないかチェック
Excelでの共有
- 他のシートに機密データがないか確認
- 数式バーに機密情報を含む参照先がないかチェック
- ファイル履歴(最近使用したファイル)を非表示に設定
ブラウザでの共有
- プライベートブラウジングモードを使用
- ブックマークバーを非表示に設定
- オートコンプリート機能をオフにする
よくある失敗パターンと対処法
失敗パターン1: 「準備不足による慌て」
よくある状況: 会議開始直前に資料準備をしていて、慌てて画面共有を始めてしまう。結果として、デスクトップ上の機密ファイルや開きっぱなしのメールが見えてしまう。
対処法:
- 会議の30分前には準備を完了させる
- 共有予定の資料以外はすべて閉じる
- リハーサルを行い、共有範囲を確認する
失敗パターン2: 「通知設定の見落とし」
よくある状況: 集中モードを設定したつもりが、Slackやメールアプリ個別の通知設定が残っていて、会議中に重要な通知が表示されてしまう。
対処法: 主要なアプリケーションの通知を個別に確認し、会議中は完全にオフにする設定を行う。
アプリ別通知オフ設定:
- ステータスを「会議中」に設定
- 通知を「しない」に変更
- デスクトップ通知をオフ
失敗パターン3: 「マルチモニター環境でのミス」
よくある状況: デュアルモニター環境で、共有していないモニターで作業をしているつもりが、マウス操作のミスで共有画面に機密情報が表示されてしまう。
対処法:
- 共有するモニターを事前に決定し、そのモニター以外では作業しない
- 可能であれば、会議中はシングルモニター環境にする
- マウスカーソルの位置を常に意識する
失敗パターン4: 「録画データの管理ミス」
よくある状況: 会議の録画データに機密情報が含まれたまま、社外の関係者に共有してしまう。または、クラウドストレージに適切な権限設定をせずにアップロードしてしまう。
対処法:
組織全体でセキュリティ意識を高める方法
個人の対策だけでなく、組織全体でのルール整備も重要です。弊社では、クライアント企業に以下のような社内ルール策定をサポートしています。
社内ガイドライン例
1. 画面共有前チェックリスト
□ 通知機能をオフに設定済み
□ 共有範囲を特定のウィンドウに限定
□ デスクトップ上に機密ファイルなし
□ ブラウザの不要なタブを閉じる
□ 録画の可否と範囲を確認
2. 定期的な教育とテスト
- 月1回のセキュリティ研修実施
- 新入社員向けのZoom操作講習
- 実際の会議での抜き打ちチェック
3. インシデント対応フロー
情報漏洩発生 → 即座に画面共有停止 → 影響範囲の特定
→ 関係者への報告 → 再発防止策の検討
まとめ:今すぐ始めるべき画面共有セキュリティ対策
画面共有での情報漏洩は、「うっかり」で済まされない重大なリスクです。しかし、適切な対策を講じることで、確実に防ぐことができます。
弊社のクライアント企業では、今回紹介した対策を実施した結果、画面共有関連のセキュリティインシデントが90%以上減少しました。特に効果が高かったのは以下の3点です:
- ウィンドウ共有の徹底:デスクトップ全体共有の禁止
- 集中モードの自動化:会議開始と同時に通知完全オフ
- 事前準備の習慣化:会議30分前の環境整理
明日から実践できるアクションプラン
Web会議が日常業務の一部となった今、画面共有のセキュリティ対策はすべてのビジネスパーソンに必要なスキルです。「今まで大丈夫だったから」ではなく、「これから起こりうるリスクに備えて」行動することが重要です。
もし社内でのセキュリティ対策についてお悩みや、Web会議システムの導入・運用についてご相談がございましたら、20年以上の実績を持つ弊社にお気軽にお声がけください。技術的な解決策だけでなく、組織運営の視点からもサポートいたします。